2006年1月

2006-1-29 / 全豪オープンを観ながら

今年の全豪オープンはフェデラーの優勝で終わりましたが、世界ランキング54位、ノーシードで決勝まで勝ち上がってきたバグダティスに注目が集まりました。

バグダティスがキプロス出身というのはメディアでも取り上げられていますが、キプロスが実は数少ない分断国家であることには、あまりふれられていないようです。

キプロス島は、今もコンクリートの壁や鉄条網で南北に隔てられ、首都ニコシアも市街地が真っ二つに分割されています。壁の南側にはキプロス共和国、北側には北キプロス・トルコ共和国がありますが、北キプロス政府を承認しているのは世界でもトルコだけです。

なぜこんなことになったのか。以下、外務省の国連キプロス平和維持隊のページからの引用です。

  • 国連による「国連キプロス平和維持隊(UNFICYP)」の派遣
  • キプロスは、ギリシャ系とトルコ系2つのエスニックバランスを考慮した憲法のもとで1960年にイギリスから独立したが、両系住民の衝突は絶えず、1963年、当時の大統領マカリオス(ギリシャ系)による憲法修正をきっかけに対立は表面化、1963年12月には武力衝突が発生するに至った。この事態に対し、1964年3月、安保理はUNFICYPの設置を勧告する決議186を全会一致で採択し、同月末、部隊の展開が開始された。UNFICYPの任務は、戦闘再発の防止、法と秩序の維持・回復および平常な状態への復帰への協力、とされた。
  • ギリシャ系住民によるクーデターとトルコ軍の介入
  • しかし、1974年7月にギリシャへの統合を望むギリシャ系武装勢力が、ギリシャ本国軍事政権の支援を受け統合反対派のマカリオス暗殺クーデターを起こした。それに伴い、トルコ系住民保護を目的としたトルコ軍による軍事介入が始まった。安保理は直ちに決議353ですべての当事者に停戦を求め、翌8月、二度目のトルコ軍の介入を経て停戦が実現したが、南北は分断され北にトルコ系、南にギリシャ系と事実上の住み分けが起こった。UNFICYPはキプロス国家警備隊(ギリシャ系)とトルコ駐留軍(トルコ系キプロス人部隊を含む)の各々の停戦ライン沿いに再展開され、停戦ライン及び両ラインにはさまれた緩衝地帯の監視と武力衝突の再発防止に努めることとなった。さらにUNFICYPは人道的活動も行うことになった。(決議359)
  • 国連の仲介
  • その後、トルコ系住民当局は1983年11月、一方的に「北キプロス・トルコ共和国」(TRNC)の樹立を宣言した(トルコのみ承認)。安保理はこの宣言を無効として撤回を求め、すべての国に対し、これを承認しないよう要請した(決議541)。国連は事務総長や特別代表代理を中心に問題解決に向けた交渉を仲介するとともに、キプロス問題の解決は、2つの共同体、2つの地域で構成されるひとつの連邦国家という考え方に基づくべきである旨提言し続けている。(決議1251等)

国連キプロス平和維持隊のページ

その後も国連の努力は続きますが、いまだ解決にはいたっていません。テニスを見ながら、こんなことを考えていました。

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2006-1-22 / 映画 『博士の愛した数式』

去年の暮れに、小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』について書きましたが、映画が昨日から公開されたので見てきました。

映画を見ての感想ですが、それぞれの役者(博士役の寺尾聡、家政婦役の深津絵里など)の演技は原作のイメージともあってるし、「まあ、こんなものかな」という感じでした。

もともと、映画が原作を忠実になぞる必要はないし、原作から感じ取ったものを映画として表現すればいいと思うのですが、それなりにページ数のある小説を映画化する場合、数あるエピソードのうち何を捨てて何を残すかが、いつも問題になります。つまり、原作を読んでどこに一番感動するかは人によって違うからです。

私は、去年原作を読んでの感想にも書いたように、10歳だった少年が博士に抱きしめられてから12年後、医療施設にいる博士の肩を、22歳になったルートがそっと抱き寄せる最後の描写は、やはり残して欲しかったと思います。

ですが、全体としては見て損はない映画だと思います。特に加古隆の音楽がいいですね。

スタッフ

  • 原作 … 小川洋子
  • 監督/脚本 … 小泉堯史
  • 撮影 … 上田正治、北澤弘之
  • 音楽 … 加古隆

キャスト

  • 博士 … 寺尾聡
  • 杏子(家政婦) … 深津絵里
  • ルート(少年) … 齋藤隆成
  • ルート(成年) … 吉岡秀隆
  • 未亡人(博士の義姉) … 浅丘ルリ子

… 映画の公式サイトはこちら

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2006-1-15 / 映画 『イノセント・ボイス』と『世界を見る目が変わる50の事実』

エルサルバドルの少年兵士を描いた映画、『イノセント・ボイス -12歳の戦場』が1月21日から公開されます。この映画の情報をチェックしていて、以前読んだ本のことを思い出しました。

それは、イギリスBBC放送のプロデューサーとして、ノーム・チョムスキーからデイヴッド・アッテンボロー、エドワード・サイードまで世界の有識者へのインタビュー番組を手がける「ジェシカ・ウィリアムズ」が書いた『世界を見る目が変わる50の事実』という本です。

その本のまえがきで、著者はこのように書いています。

どの事実にも、見過ごしにできない重要なことがある。たとえば所得格差や機会の不均等、権力の不均衡。あるいは天然資源の野放図な濫用や、社会や文化の変化もある。それぞれの事実を簡潔に解説することで、その前後関係を知り、統計数字の背後に潜む物語-問題はどこまで根深いものか、どうしてそんなことになったのか、いまどんな手が打てるのか-を浮き彫りにした。

その中に、「世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人」という記述があります。その他にも「世界で3人に1人は戦時下に暮らしている」など、50の数字について解説されています。

統計上の数字は必ずしも事実ではないとしても、いろいろ考えさせられる本でした。

映画 『イノセント・ボイス -12歳の戦場』は、東京でもシネスイッチで公開されるだけなのでなかなか見られないかもしれませんが、見たら感想を載せたいと思います。

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2006-1-9 / 今日もゆるゆる歩く - BSFUJI 『東京の散歩道』

BSFUJIに、『東京の散歩道』という番組があります。地上波ではやっていないので見たことがない方もあると思いますが、「ゆっくり歩くことで東京の町の魅力を引き出す、歩行者目線のハイビジョン散歩番組」です。

これまでに、

  • 寅さんの柴又から両さんの亀有までの散歩道
  • うまいものをたどって-江戸時代からの街道筋を下町巡り
  • 水の都・川と橋の街を巡る-深川リバーサイドウォーク
  • 都電荒川線に沿って-ちんちん電車で散歩する
  • 谷中・根津・千駄木-長屋と猫の町を散歩する
  • ああ青春!と芸術!の散歩道-池袋から江古田まで
  • カイダンでゆくウマイ街-四谷・曙橋・大久保
  • ゆったり気分で公園と緑と街の魅力を楽しむ-下北沢・三軒茶屋周辺
  • 新しさと懐かしさが混在する街-渋谷・代官山・中目黒
  • 都内有数の坂の町-お茶の水、本郷、小石川
  • 中央線に沿い、武蔵野のおもかげを追って-荻窪・西荻窪・吉祥寺
  • 東京タワーが見える街-芝、麻布、広尾
  • 新宿御苑・神宮外苑・明治神宮・代々木公園
  • 都内で一番人口密度が高いマニアな町、そしてユニークな町-中野・新井薬師

などが放送され、どれも「行ってみようかな」と思わせる散歩ガイドです。

昨日は、先日見た「カイダンでゆくウマイ街-四谷・曙橋・大久保」のルートをたどりながら、妻と散歩してきました。

ラーメン屋「第二旭」(あけぼのばし通りから安養寺坂を上がって、公園の手前を少し右に入ったところ)の大将夫婦も、TVで見たまんまでした。子供の頃近所に住んでいた若者が入ってきてラーメンとビールを注文すると、「あんたがビールねえ」というおかみさんのツッコミがあったりして、いい雰囲気でした。

ところで実際に歩くには地図も必要ですが、都心の散歩に欠かせないのが『どこでもアウトドア 東京山手・下町散歩』(昭文社/1400円)という本です。

"どうやって描いてるの""参考になる本"にも挙げていますが、スケッチポイントを探すのにも役に立つ本です。

さて、今度はどこに行こうかな。

関連情報

BSFUJI / BSFUJI公式ページ
Amazon.co.jp / どこでもアウトドア 東京 山手・下町散歩

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2006-1-2 / 良いものは良い -『清左衛門残日録』

平成5年(1993年)にNHK金曜時代劇で放映された時代劇『清左衛門残日録』(全14話)が、ケーブルの「時代劇専門チャンネル」で明日3日午後、一挙に放送されます。

私はリアルタイムでも見ていましたし、その後やはりケーブルテレビで再放送されたときにも見ていますが、良いものは何度見てもいいですね。

このドラマは皆さんご存知のように、藤沢周平の『三屋清左衛門残日録』をドラマ化したものですが、演出、脚本、キャスティングともに文句なしに良くできていると思います。

いわゆる藩内の政治的対立を軸にドラマは展開していきますが、描かれているのは、友情、父と子の厚情、舅と嫁の間のいたわりや尊敬など、人と人との情愛です。

なかでも第12話『闇の談合』は、このシリーズ最高の出来ではないでしょうか。特に、重病の床にある竹馬の友である金井奥乃助を見舞うシーンや、清左衛門が筆頭家老の朝田弓之助に退陣を勧めるという、難しく危険な仕事に赴こうとする日に嫁の里江と清左衛門が話すシーンなど、このドラマのすべてが凝縮されているように感じます。

放送は、「時代劇専門チャンネル」で明日3日午後1時からです。一挙に見るのは大変ですから、DVDにでも録画して、ゆっくり楽しんでください。

スタッフ

  • 原作 … 藤沢周平
  • 脚本 … 竹山洋
  • 音楽 … 三枝成彰

キャスト

  • 三屋清左衛門 … 仲代達也
  • 里江 … 南果歩
  • みさ … かたせ梨乃
  • 佐伯熊太 … 財津一郎
  • 大塚平八 … 河原崎長一郎
  • 金井奥乃助 … 佐藤慶

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