共産主義体制崩壊寸前のチェコを舞台にした、冴えない中年音楽家と1人の男の子との、出会いと別れの物語です。監督ヤン・スヴェラークの実父であるズディニェク・スヴェラークが、主役のロウカ役と脚本を担当しています。
2月17日にNHKBS2で放送されたものをDVD録画で見ました。1989年の東欧民主化直前という時代背景、プラハという舞台。映画は、その日暮らしでぐうたらなチェコ人のチェリストと、母に捨てられたロシア人の子供との日々の生活を描いています。ですが、決して内容は暗くなく、ユーモアにあふれています。
激動する状況の下でのロウカとコーリャの出会いと別れを淡々と描いた、いい映画でした。チェコ・フィルに復帰したロウカが演奏するスメタナの「わが祖国」をバックに機上のコーリャが歌うラストシーン、いいですね。
それにしても邦題の「愛のプラハ」は余計ですね。
スタッフ
キャスト
受賞
今日の朝日新聞日曜版『be on Sunday』に、国交省首都圏外郭放水路の調圧水槽のことが載っていました。最近有名になったのでご存知の方も多いと思いますが、埼玉県東部の中川・綾瀬川地区を洪水による浸水被害から守るために作られた、最大直径10m、長さ6.3kmに及ぶ地下放水路の一部です。
この放水路ができてから、この地区の浸水戸数は200分の1から20分の1に激減しました。最近何かと批判の多い公共事業ですが、この事業に関しては地元の方の評判は上々のようです。
ですが、「安全と安心」は「あって当たり前」、何も起こらないとその「安全と安心」が何によって支えられているのか、誰も関心を持ってくれない。
建設業にたずさわるものとしては、やはり寂しいですね。
首都圏外郭放水路インフォメーション / 首都圏外郭放水路の公式サイト
カタログハウスから出ている『通販生活』というカタログ雑誌をご存知の方も多いと思います。この雑誌の2006年春号には、事故から20年近くがたった今も放射能汚染の影響がなくならない「チェルノブイリ」のことや、戦争で傷ついた子供たちの治療活動を続ける「ドイツ平和村」のことなどが載っています。
その中に、コラムニストの天野祐吉さんが書いた『戦争の上手な煽り方』という文章があります。これは、国民を戦争に駆り立てるために国家がどんな嘘をつくか、1928年にアーサー・ポンソンビー卿が発表した『戦時の嘘』に基づいて書かれたものです。
おなじくこの本を元に書かれたものに、ベルギーの歴史学者アンヌ・モレリの『戦争プロパガンダ10の法則』というものがあります。
この本の中で、第一次大戦からアフガン空爆まで、われわれが政府発表やメディアにいかに騙されたか、著者は戦争当事国による世論操作・正義捏造の過程を浮き彫りにしています。
これらの法則はすでによく知られたことであり、戦争が終わるたびに、われわれは、自分が騙されていたことに気づく。そして、次の戦争が始まるまでは「もう二度と騙されないぞ」と心に誓う。だが、再び戦争が始まると、われわれは性懲りもなく、また罠にはまってしまうのだ。
あらたにもうひとつ法則を追加しよう。『たしかに一度は騙された。だが、今度こそ、心に誓って、本当に重要な大義があって、本当に悪魔のような敵が攻めてきて、われわれはまったくの潔白なのだし、相手が先に始めたことなのだ。今度こそ本当だ。』
(まえがき「また戦争プロパガンダが始まった」より)
さてここで10の法則とイラク開戦時のアメリカの言い分を対比してみると...
「われわれは戦争をしたくはない」
「米国は、この戦いに進んで入るわけではない。しかし、われわれの目的は明白である。米国、同盟国そして友好国の国民は、大量破壊兵器で平和を脅かす無法国家の言いなりになることはない。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
「イラクは国連安保理決議に従っていない。長年にわたり国連査察団はイラクに脅され、盗聴され、だまされてきた。平和的に武装解除する努力は繰り返し失敗した。」(ブッシュ大統領の最後通告演説)
「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
「フセインは、兵士や兵器を民間人居住区に配置し、女性や子どもを含む罪のないイラク国民を、自らの軍隊の盾として利用しようとしている」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
「米国と連合国の軍隊は、イラクを武装解除し、イラク国民を解放し、深刻な脅威から世界を守るための最初の軍事行動を行っている。(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
「連合軍は罪のない民間人の犠牲を避けるため、あらゆる努力を払う。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
「イラクはテロリストを支援してきた。テロ組織アルカイダの工作員も訓練の対象になった。危険は明白だ。いつか生物・化学兵器を使うかもしれない。数十万人の無実の人が命を落とすかもしれない。」(ブッシュ大統領の最後通告演説)
「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
「連合軍は私の命令を受け、サダム・フセインの戦闘能力を奪うため、軍事的に重要な一定の目標に対し攻撃を開始した。これは、今後展開される、広範で統合された軍事作戦の始まりである。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
「親愛なる国民の皆さん。米国と国際社会に向けられた危機は克服される。この危険な時はやがて過ぎ去り、われわれは、平和の構築に取り組むことになる。われわれは、自らの自由を守り、また自由を他者にももたらす。そして、勝利する。米国と、米国を守るすべての兵士に神のご加護がありますように。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「われわれの大義は神聖なものである」
「われわれは、脅威を取り除き、国家の運営をイラク国民の手に取り戻すことを支援する以外、いかなる野望も持ち合わせてはいない。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」
「この連合に参加するすべての国が、共同の軍事行動に参加する責務と名誉を分かち合うという選択をした。」(ブッシュ大統領のイラク開戦に当たっての演説)
その後の調査で、当時のアメリカの言い分に多くの嘘やごまかしがあったことが明らかとなっています。80年近く前に書かれたことが、今もぴったりと符合しています。政府の発表やマスメディアの報道を鵜呑みにすることの危険に気づかされる本でした。
こんな本が参考になるかと
『ブッシュのアメリカ』(三浦俊章著/岩波新書/700円)
『イラン 戦争と占領』(酒井啓子著/岩波新書/740円)
『テロ後 世界はどう変わったか』(藤原帰一編/岩波新書/780円)
NHKデジタル衛星ハイビジョンで1月20日に放送された『世界・時の旅人 君はオーティスを聴いたか 忌野清志郎が問う魂の歌』が、今日、BSハイビジョンで再放送されました。
この番組は、アメリカ音楽界で伝説として語り継がれているスーパースター、オーティス・レディングから強く影響を受けたミュージシャン忌野清志郎が、40年の時空を超え、オーティスの生き方を探る旅に出た記録です。
オーティスは、発売後ミリオンセラーとなった"The Dock of the Bay"録音の翌日、1967年12月10日午後3時28分、空港を目前にした飛行機事故でこの世を去ります。まだ26歳の若さでした。
黒人差別の激しかったアメリカ1960年代、キング牧師に代表される公民権運動や、ゴスペルからソウルへと変わっていく音楽の世界の中で、白人でありながら彼の歌にほれ込みマネージャーとなったアラン・ウォルデンとフィル・ウォルデンの兄弟との出会い。そして、偶然のきっかけから生まれた"These Arms of Mine"のヒットとこの録音のとき出会ったギタリスト、スティーブ・クロッパーとの関係。
番組は、オーティスの歩いた短かった人生を清志郎がたどりながら、「オーティスがくれたメッセージを皆に伝えたい」という清志郎の思いを、かつてはオーティスと曲作りをしたクロッパーが受け止め、二人で作り上げた歌を清志郎が歌うシーンで終わります。
日本語で歌う清志郎の歌を聴きながら涙するクロッパーが印象的でした。
-音楽には言葉を超える力がある!!
OTISREDDING.COM / Otis Redding Official site
地味変 / 忌野清志郎公式ページ
番組で流れた3つの曲
はすべて、アルバム、"The Very Best of Otis Redding,Vol.1" にあります。