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「~目」
紙の表面の目の荒さ・細かさを表します。
メーカーによって呼び方が違うことがありますが、荒いほうから荒目・中目・細目、あるいは荒目・細目・極細目があり、同じ名前の紙でも目によって表情がかなり異なります。
一般に荒目のほうが顔料が均一にのり、細目のほうがむらになりやすいといわれていますが、紙の種類によっても違うので一概には言えません。同じメーカーの同じ銘柄であれば確かにそういえますが。
英語表記では荒いほうからROUGH・NP(NOT PRESS)・CP(COLD PRESS)・HP(HOT PRESS)となります。
「~g/m2」
紙の1平方メートルあたりの重さを表します。重いほうが紙が波打ちませんが、値段が高いです。
水彩用紙には非常に多くの種類があります。これまで私が試したスケッチブックには次のようなものがあります。
「ミューズキュービ」
最初に先生が用意してくれたもの。絵の具ののりが悪く、「にじみ」、「ぼかし」などもうまくいかない。
「コットマン」
これも最初に先生が用意してくれたもの。絵の具ののりもまあまあで描きやすい。値段を考えれば一番いい選択かも。
「アルビレオ」
値段が安く「にじみ」や「ぼかし」もそこそこできるので一時よく使っていた。紙厚の薄いものしかなく、どうしても波打ってしまうので最近は使っていない。
「モンバルキャンソン」
紙の表面が硬い。発色は良いが絵の具の吸い込みが遅いので微妙なグラデーションは難しい。
「ワトソン」
ややクリーム色がかった紙。撥水力が強く絵の具がかすれる感じになる。それが面白い効果を生むこともあるが、「にじみ」や「ぼかし」は難しい。
「ホワイトワトソン」
ワトソンの色を白くしたもの。特徴は同じ。
「ストラスモア」
米国ストラスモア社製。絵の具の発色は良いが伸びが悪いような。吸い込みが遅いので微妙なグラデーションは難しい。モンバルキャンソンに似ている感じ。
「モロー」
発色、吸い込みともにバランスがとれている国産の水彩紙。「にじみ」や「ぼかし」もやりやすいがなかなか売っていないのが難点。
「MO紙」
絵の具の伸び、吸い込みともに良好な国産の紙。「にじみ」や「ぼかし」もやりやすいが、表面が弱い。一時生産が中止されていたが今はあるのかな。
「ラナ・アクアレル」
イギリスのウィンザー&ニュートン社がフランスのラナ社と提携して提供。日本ではアポロ社から発売されている。発色が良く絵の具の伸びと吸い込みもまあまあ。「にじみ」や「ぼかし」もやりやすい。
「ファブリアーノ・ウーノ」
ファブリアーノ社というイタリアの老舗製紙会社が製造。日本ではアポロ社から発売されている。発色が良く絵の具の伸びと吸い込みもまあまあ。「にじみ」や「ぼかし」もやりやすい。
「ウォーターフォード」
英国の代表的な高級水彩紙として永年愛用されてきたもの。ファブリアーノ・ウーノより発色が沈んだ感じになるが、絵の具の吸い込みがいいので「にじみ」や「ぼかし」がやりやすい。
「セヌリエ」
セヌリエというのはフランスの老舗画材屋。ただし、現在は中の紙はファブリアーノ社のファブリアーノ・クラシコになっているらしい。発色、絵の具の伸びともに良好で、吸い込みのバランスも良い。「にじみ」や「ぼかし」もやりやすく、私には一番描きやすい。
「アルシュ」
フランス製の最高級の水彩紙。絵の具の伸び、吸い込みともに良好だが、乾くと色が少し沈むので私はあまり好きでない。値段も高いし。
以上は紙の種類の話ですが、以前私が自転車でサイクリングするときによく使っていたスケッチブックに、アポロ社の「ブル・フォンセ」があります。スケッチ教室でもよく使っていました。
二つ折りになっているので、F4サイズのものでもF2サイズになり、ヒップバッグにちょうど入る大きさ。絵の具の伸びがよく、さらっと描くのに向いています。広げたときに折り目が気になるのが難点です。
最近の自転車スケッチや散歩スケッチによく使っているのが、やはりアポロ社の「エスキス」。水を多く使うとにじみやすく、色が抜けたようになるのが気になりますが、大きさが18cm x 18cmでヒップバッグに収まって気軽に描けるのでよく使っています。
というわけで、最近私がよく使っているのは、サイクリングのときは「エスキス」か「ブル・フォンセ」、描くことが目的で出かけるときは「セヌリエ」です。
固形の透明水彩が使いやすいです。スケッチを始めたときに先生が用意してくれたヴァン・ゴッホのポケットボックスは今でも使っていますが、中の絵の具は大半がウィンザー&ニュートンの"Artists' Water Colour"シリーズに入れ替わってしまいました。
最近外で描くときは、携帯に便利なウィンザー&ニュートンの"Cotman FIELD BOX"を使っています。これは蓋の部分が筆洗になるので便利。小さな水入れも付いていますが、水が漏れるので使っていません。これも中身は"Artists' Water Colour"シリーズに入れ替わってしまいました。
絵の具にもホルベイン(国産)、ウィンザー&ニュートン(英国)、ラウニー(英国)、ターレンス(オランダ、ヴァン・ゴッホも同じメーカー)など、色々なメーカーのものがあり値段も様々ですが、値段による仕上がりの差は、紙ほどはないような気がします。予算に余裕があるなら紙に回したほうがいいと思います。
描く対象によって(つまり自然の風景か、街の風景か、花かなどによって)多少アレンジは必要と思いますが、とりあえず以下の色があればなんとかなります。( )内は「ウィンザー&ニュートン」の場合の色名称です。
ただし、花の色など鮮やかな色は混色では絶対に出ないので、それらの色が必要なときは別に用意が必要です。
これも色々使ってきました。大きく分ければ鉛筆かペンかということになります。
鉛筆は消しゴムで消せますが、線が弱い。色で絵を作る場合にはいいのですが、速く描くには線描きを基本にしたほうが楽なので、私はほとんどの場合黒い色がはっきり出る油性の鉛筆かペンを使っています。
色で絵を作る場合でも、消しゴムで消すと絵の具ののりが悪くなるし、修正を前提にデッサンするのは時間ばかりかかって線が死んでしまうのでやめたほうがいいと思います。
インクの種類で油性・水性の2種類があります。
油性インクのものはペンを止めたときににじみやすいです。平山郁夫さんのスケッチのようにそれが効果を生む場合もありますが、私には扱いが難しい。
水性インクには耐水性のものとそうでないものがあり、耐水性のものは絵の具を載せても線がにじまないのでクリアな絵になります。耐水性でないもので線のにじみを出すのもおもしろい効果が出ます。
その他にも色々な筆記具があるし、どれもそんなに値段の高いものではないので、自分で試してみて一番しっくりするものを選べばいいと思います。
私の場合、初めのころは楽に色々なニュアンスの出せる三菱のDERMATOGRAPHを主に使っていましたが、ペンでなんとかならないかと工夫しているうちにPIGMAの1.0mmでそれができるようになりました。
洋筆も和筆も使いましたが、結局隈取筆が一番使いやすいです。太目と細目2本あれば十分。広い面積を塗るのに平筆もあると便利とは思います。
1本数千円もするような高価なものもありますがとても手が出ないし、使ったことがないのでわかりませんが、予算があるならやはり紙にまわしたほうがいいと思います。
好きなところを好きなように描けばいいわけですが、やはり描きやすい構図というものがあります。一言で言うと、「そのまま描いても遠近感の出やすいところ」が描きやすい。たとえば遠くに山があって、中間に集落、手前に木があるような。
描く場所が決まれば、見えている風景の中から、遠景から近景までがバランスよく紙の上に収まるように風景を切り取ればいい。
注意点としては、非常にきれいな風景であってもスケッチにはしにくいケースがあるということ。たとえば紅葉の山や森で木しかないような場合。油絵や日本画であれば絵になりますが、建物も何も無いような場合はスケッチにはしにくいです。適当に建物を描き加えるという手もありますが。
見えているとおりにそのまま描こうとせずに、描きたいものにポイントをおいて、それ以外はむしろ大胆に省略するくらいの気持ちで描くと、速く楽に描ける。たとえば隣接する建物や遠景の建物などは輪郭だけでも十分です。
描き始める前に、頭の中で切り取った風景の中で基準になる点を見つけ、そこから書き始めるようにする。地平線や水平線、道路があるときは、そのラインかそれに接しているものから描き始めると描きやすい。
そして大事なことは、描きたいものが紙の上に収まるように意識しながら描き進めること。建物であれば、屋根の左上から描き始め、右下の地面と接する部分が紙の上に収まるように描き進める。
見たとおりの色に塗ろうとすると疲れるし、それがいい結果になるとは限りません。無理に見たとおりの色を作ろうとせず、むしろ自分のイメージを作って、使う色を少なくして全体のバランスを見ながら色をおいていくとまとまりのある絵になります。メリハリがなくておとなしすぎる絵にもなりますが。
あくまで私はこうしてるというものですが、参考に。
私自身まだまだうまくいきません。ポイントは筆をおきすぎないこと(特に遠景では)と、白い部分を残すことだと思います。
水彩の基本技法として「にじみ」、「ぼかし」、それらの応用として「グラデーション」がありますが、紙に適度な吸い込みの速さがないとうまくいきません。いい紙を使うと微妙なニュアンスを出すのが楽です。
サインは絵の一部です。仏文学者でエッセイストで画家の玉村豊男さんの絵を見て気がつきました。サインはいつも絵の右下とは限りません。紙の中で絵とのバランスを考えながらサインを入れましょう。
これまで色々な本を読んできた中から、私にはこれが参考になった、というものをあげておきます。 は特にオススメの本です。
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