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"どうやって描いてるの"は、すでにスケッチをやっていらっしゃる方からの質問に答えるかたちでまとめたものです。
ここでは、これからスケッチをやってみようと思っている方や興味のある方のために、スケッチを始めたきっかけや初心者がおちいりやすい失敗、練習法などについて書いていきます。
このコラムを通じて、少しでも多くの方が水彩スケッチに興味を持って、人生を楽しんでいただけたらと思います。
記事についてご質問があれば、こちらのメールフォームからどうぞ。皆さんからの質問を、"スケッチQ&A"としてまとめます。
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たとえば旅に行ったとき、「いい景色だなあ」と思ったり、歩いているときに「ちょっと気になる」街のたたずまいに出会ったりしたこと、ありませんか。そんな時、みなさんはどうしてますか。デジカメ?、ビデオ? 私も4年前まではそうでした。
そんな私がスケッチを始めたのは、妻の「絶対に趣味を持つべきだ」という強いすすめがあったからです。
もともと無趣味でぶしょうものの私が「仕事以外の何か」をやり始めるには、それなりの覚悟が必要でした。ですがやり始めてみると、そこにはまったく新しい世界がありました。
わずかな投資とわずかな時間でスケッチは可能です。必要なのは「一歩踏み出す」ことだけです。まずはやってみませんか。
イラストレーターの永沢まことさんの本に、スケッチの楽しさについて書かれたものがあります。スケッチの楽しさにふれるのにいい本だと思います。
思いきってスケッチを始めてみたものの、「描いたものが下手に思えてしかたがない、もうやめようかな」というふうに感じることがあると思います。でも、描いてるときはどうでしたか、少しも楽しくなかったですか。
「まったく楽しくなかった、苦痛なだけだった」というのであれば、他の趣味を見つけたほうがいいかもしれません。ですが、少しでも楽しいと思えたのであれば、続けられます。続けているうちに、「きょうはうまくかけたぞ」と思えるときがきっとあります。
そうなれば、描くことがどんどん楽しくなってきます。仕事となれば話は別でしょうが、趣味なんですから必ずしも上手じゃなくていいんです。「楽しい」と思えることが一番大事です。
楽しいと思えるかどうか、それはやってみなければわかりません。ぜひ、一歩踏み出してみてください。
くじけそうになったとき、悩んだとき、仲間がいると話をしているだけで癒されたり、解決策が見つかったりします。そのためにも、最初はあなたの近くのスケッチ教室を見つけることをお勧めします。
"どうやって描いてるの"にも書きましたが、ここではこれからスケッチをやろうとする方にオススメの画材を紹介します。
まず最低限、「スケッチブック」、「ペンまたは鉛筆」、「絵の具」、「筆」、「水入れ」が必要です。あとはそれらを入れるバッグですね。バッグは自分で使いやすいものであれば何でもいいので、それ以外の画材について説明します。
スケッチブックには非常に多くの種類がありますが、初心者の方へのオススメはマルマンの「コットマン」です。理由は
からです。
紙の表面の状態で「細目」、「中目」、「荒目」があります。こまかな絵を描くなら「細目」、それ以外ならはじめのうちは「中目」が描きやすいと思います。
大きさもF0からF6まで5種類あります。F4(A4より少し大きい)くらいのサイズで練習したほうがいい、という方もいますが、まずは自分が描きやすいサイズから始めればいいと思います。
わたしのスケッチについての質問で一番多いのが、線描きの画材についてです。詳しくは"どうやって描いてるの"に書いてありますが、初心者の方へのオススメは三菱鉛筆の「ダーマトグラフ(DERMATOGRAPH)」です。
力の入れようでそこそこ細かな線から太い線まで書けるし、線を強調することも、控えめにすることも可能です。ラフなスケッチには一番使いやすいです。
ある程度なれてきたら、ペン描きはどうでしょう。オススメはサクラクレパスの「ピグマ グラフィック(PIGMA GRAPHIC)」です。水性ペンですが、耐水性の顔料インクを使用しているので絵の具をのせてもにじみません。太さもいろいろ選べます。
ペンあるいは鉛筆の色ですが、やはり基本は「黒」です。他の色を使うと絵の具の色とぶつかって、絵にまとまりがなくなります。
水彩絵の具には「透明水彩」と「不透明水彩(ガッシュ)」があります。小学校や中学校で使ったのは不透明水彩ですが、水彩らしい絵を描くのであれば、やはり基本は「透明水彩」です。チューブ入りのものとキャラメルのような固形のものがありますが、固形のほうが扱いやすいです。
携帯性最優先の「現場で描くスケッチ」に一番のオススメは、少し値段が高いですがウィンザー&ニュートンの「コットマン フィールドボックス(Cotman FIELD BOX)」です。
右側の写真を見ていただければおおよそわかると思いますが、ボックスの蓋が筆洗になります。水容器も付いていますが、キャップから水が漏れるので、私は小さめのペットボトルを使っています。
中の絵の具は固形のハーフパンサイズ12色セットです。とりあえずそのまま使って、徐々に自分の使いたい色に入れ替えていけばいいでしょう。
値段と使いやすさから、オススメはナムラの「隈取筆」。日本画用の筆ですが水の含みがよく、ほどよい腰の強さがあるので描きやすいです。太さは「大」と「中」が1本づつあればとりあえず間に合います。
フィールドボックスが少し高くてセールの時でも5000円くらいしますが、全部そろえても7000円~8000円くらいです。
これだけの投資でしばらく楽しめると思えば安いものだと思いますが、どうでしょう。
世界堂オンラインショップ / 種類豊富。新宿にある世界堂のオンラインショップ。
ゆめ画材店 / 種類豊富で選びやすい。おすすめリンク集に当サイトの紹介も。
ちよだ画材 / こちらも種類豊富。豆知識のコーナーに画材の解説があります。
絵を描く.com / 左下の‹絵画材料販売店›に全国の画材店のリストがあります。
ホルベイン オンラインショップ / 絵の具メーカー ホルベインのオンラインショップ。
さあ、道具の用意ができました。さっそく外に出ましょう。と、はりきって飛び出したものの、いったいどこをかけばいいの?
なにも特別なところを描く必要はありません。「描きたい」という気持ちさえあれば、身近なところに描くものはいっぱいあります。庭の花、うちの周り、近所の公園、いつもの街の風景。わたしも最初はママチャリで近所の公園に行きました。
なんでもないときにふと心をうごかされたもの、それを絵にすればいいのです。絵にするにはテクニックも少しは必要ですが、まず「感じること」。それがなければ、絵を描いても少しも楽しくありません。
「描きたい」と思って自然の中や街の中にいると、いつも何かを感じることができます。このことが、自分の感性をにぶらせない、スケッチの一番の効用だと思います。
さあ、うちの外に飛び出しましょう。
言葉の意味としては、「スケッチ(素描)」は、風景や花などの対象を前にしてじかに描かれた、線を主体にしたもので、「水彩画」はスケッチをもとにしてしっかり描きこまれた絵画作品ということになるのでしょうか。
具体的には、たとえばプロの画家である福井良佑さんのサイト『水彩画テラス』や、渋谷たつおさんのサイト『渋谷たつお 透明水彩画』で、スケッチと完成形としての透明水彩画と、両方見ることができます。すごく勉強になりますので、ぜひご覧ください。
私自身は、現場での感動や感じたものをその場で絵にすることが楽しくて、描いたスケッチをもとにして「水彩画」や「油彩画」にする、ということはまだやっていません。
いつかはひとつの作品として鑑賞にたえられるような絵を描いてみようかなとは思いますが、今のところは「楽して楽しむ」ことをモットーに、いろいろな人の絵を見て勉強しながら、スケッチを続けていこうと思っています。
平山郁夫さんが『私のスケッチ技法』という本の中で、スケッチと本制作の関係について次のように書かれています。
「スケッチは画を描く人にとって、必要不可欠な描写力の日常訓練であるだけでなく、知識も、技術も感激も、つまりは全人格の練磨となるものです。私たちが、本制作をするのは、そのテーマについての自分の結論を出す、いわばピリオドの作業です。」
そしてスケッチについて、「スケッチは対照的に、自然の中から、未完成ながら潤いのある素材を受取る、一つ一つの鼓動の動きのきこえるような無限の喜びです。」と書かれています。
「へたでも楽しければいいじゃない」というのも本当です。趣味なんですから。でもやっぱり上手に描けるようになりたい、というのも人情ですよね。
そこでここでは、初心者がおちいりやすい失敗とその対策について、できるだけわかりやすく書いてみたいと思います。もちろん、私自身もすべてうまくいっているわけではありません。こういうふうにできたらいいな、ということも含めて書いてみます。
多くの人がおちいりやすい一番の失敗はこれです。どうしても、見えているものをそのまま紙の上に写し取ろうとします。その結果、自分がなにを感じて描こうとしたのか、なにを描きたかったのか、わからない絵になってしまいます。
まず、自分がなにに感動したのか、どこをいいなと思ったのか、いきなり描きはじめる前に、もう一度頭の中でイメージしましょう。なにかを感じたのであれば、かならずイメージできるはずです。
自分が描きたかったものがしっかりイメージできたら、それを頭の中で、スケッチブックの上にレイアウトします。それから描く順番を考え、はじめて描きはじめます。
そして、描くものと描かないものを意識し、自分が描きたいと思ったもの以外は、まったく描かない、あるいは輪郭だけにするなど、思いきって省略します。こうすることで、なにを描いたのかがはっきりしてきます。
平山郁夫さんが同じ本の中で、インタビューに答えるかたちで、どこから描くか、ということについて次のように言われています。
「主役をまず決めるわけです。そうでなくてただまんべんなくやっていると、なにを描きたいのか、なにを表現したのか、その意図がぼやけてきて、スケッチにも迫力がなくなります。つまり生きたスケッチにならないのです。」
確かにそのとおりですよね。でも、これがなかなかできません。わたしもまだまだですね。
たいていの人は「遠近法」という言葉は知っていると思います。対象とするものの遠近感を表現する方法ですが、ここで基本的なことをまとめておきます。
遠近法には次の3つがあります。
まず「線の強弱と細かさ」による遠近法ですが、
ことで遠近感を出すことができます。
次に「色の濃淡と色味」ですが、
ことで遠近感が出ます。
最後に「透視図法」ですが、これを苦手とする方が多いようです。
透視図法には「1点透視図法」、「2点透視図法」、「3点透視図法」があります。きちんと勉強したい人には、こんなサイトが参考になると思います。めんどうな勉強はいやだという方は、私のスケッチを参考にしてください。
です。
理屈は抜きにして一番のポイントをいうと、「常に自分の眼の高さを意識する」ということです。そして、自分の眼の高さより上にあるものは手前のものほど上に、眼の高さより下にあるものは遠くのものほど上にきます。私のスケッチをもう一度よく見てください。
横の線(たとえば建物のてっぺんのライン)が右上がりなのか、左上がりなのかをきちんと見ることが大事です。縦の線は少々傾いていてもそんなに変じゃないですが、横の線の傾きが違っていると、自分の背丈よりずっと上にあるものを見下ろすような絵になってしまいます。
建物の絵が苦手な人には、うちの中でもできる練習方法をおすすめします。たとえば菓子箱、牛乳パックなど何でもいいのですが、はじめは単純な形のものを違う角度から見て描く練習をすると、目線の位置によって見え方が変わってくることがよくわかると思います。
次に、うちの中にあるいろいろな形のもの、たとえばテレビのリモコン、デジカメ、携帯電話、はさみ、めがねなど、少し複雑だけど形がしっかりしているものを描く練習をします。
そのとき、鉛筆やペンも違う種類のものを使って描くと、道具による線の違いがわかると思います。また、同じペンでも力の入れ方や角度のつけ方で違った線が描けるので、いろいろためしてみるといいと思います。
彩色も同じです。絵の具の組み合わせでどういう色になるかも、うちの中でためして練習できます。
さて、色を作るときに覚えておくと便利なのが、「補色」の関係です。補色というのは図のような色相環で正反対に位置する関係で、赤と緑、紫と黄色のような組合せをいいます。一番コントラストの強い組合せの色、と言いかえることもできます。
補色の関係にある絵の具を混ぜるとグレーになります。これがわかっていると、いろいろな色を作るときに便利です。たとえば、赤い色のトーンを少し弱くしたときは、少し緑を混ぜればいいわけです。また、どちらかの色の量を変えることで、いろいろな色調の色が作れます。
もちろん、補色以外の色の組み合わせでもいろいろな色になるのですが、混ぜるとグレーになる色の組み合わせを覚えておくと、それがひとつの基準になるので、混色のしかたがわかりやすくなると思います。
スケッチを始めてから、たくさんの本を参考にさせてもらってきました。"どうやって描いてるの"にも書きましたが、初心者にオススメの本をもう一度あげておきます。特に『見てすぐ描ける 水彩スケッチ』という本は、基本的なテクニックを身につけるのにすごく役に立つと思います。
線描きでも着彩でも、数をこなして自分のスタイルができてくると、楽に速く描けるようになります。現場でのスケッチは速く描けるに越したことはないですが、とはいえいつも同じような感じになってしまうのは、自分でもやはり物足りないものですし、飽きてもきます。
そこで、なんとか自分の「から」を破りたい、という思いが強くなってきます。ですが、一度できてしまったスタイルはなかなか変えられません。そこでどうするか。
私自身悩んでいるところですが、やはり「いろいろな人のいろいろな絵をたくさん見る」ことにつきるのではないでしょうか。まずは展覧会、次に本、そしてインターネット。
見ることの「質」という意味では展覧会が一番ですが、繰り返して見られないのが難点です。その点、本やインターネットは何度でも見ることができます。本物を見る感動は得られませんが、欧米のように美術館で模写をすることが許されない環境では、やむを得ません。
特にインターネットの世界では、プロの画家だけでなく、同好の方たちのいろいろな絵を見ることができます。プロの方の、絵を描くプロセスをステップ毎に解説してくれているようなサイトももちろん勉強になりますが、アマチュアの方たちの絵を見ることはより身近で、刺激になります。
プロフィールのページにも書いてあるように、私は2001年の春からスケッチを始め、それから2年後に自転車を始めました。
ほんの少し踏み出したことがきっかけとなって、仕事以外の世界がどんどん広がった気がします。今ではこうして自分のホームページを持つまでになり、いろいろな方から声をかけていただけるようになりました。
皆さんも、ぜひ一歩踏み出してみてください。